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1420 Reply 増田俊男氏、逮捕 F 2010/02/06 17:58
やっぱ、増田さんが逮捕された。これで、ハチャメチャな
評論はなくなる。米国の共和党人脈の時代は終わっている。
心配したとおりである。

無登録営業容疑:投資顧問会社を家宅捜索 警視庁
2010年2月3日 11時25分 更新:2月3日 13時15分


金融商品取引法違反で投資顧問会社「サンラ・ワールド」の家宅捜索に向かう警視庁の捜査員=東京都豊島区で2010年2月3日午前9時36分、武市公孝撮影 投資顧問会社「サンラ・ワールド」(東京都中央区)が、無登録で「近く上場して株価が40倍になる」とカナダのIT(情報技術)企業への出資を募ったとして、警視庁生活経済課は3日、サンラ社の本社など関係先十数カ所を金融商品取引法違反(無登録営業)容疑で家宅捜索した。サンラ社は時事評論家の増田俊男氏が実質的に経営しており、同課は、IT企業の新株予約権への出資名目で00〜07年10月に約50億円を集めたとみて捜査している。

 捜索容疑は、国の登録を受けずに07年10月ごろ、ハワイに開設した関連企業名義の預金口座に茨城県の無職男性(65)ら3人から計約500万円を振り込ませ、出資させたとしている。捜査関係者によると、サンラ社は増田氏が主宰する会員制投資クラブの会員らに、このIT企業が「01年に上場する」「第2のマイクロソフト社になる」と説明していたが、同社は上場を何度も延期し、現在も上場していない。

 投資家の代理人らによると、サンラ社は00年5月に増田氏を会長としてパラオ共和国に「サンラ国際信託銀行」を設立。金利10%以上をうたった定期預金や、ハワイのコーヒー園への投資を募り約200億円を集めたという。05年1月にパラオ政府から営業許可を取り消されたため、投資家は返金を求めたが、大半が返金されていないという。

 IT企業には約1000人が出資しているとみられ、一部投資家が増田氏らを相手取り民事訴訟を起こしている。増田氏は「日本大復活!」(PHP研究所)といったビジネス書など20冊以上の著書がある。【町田徳丈】


1414 Reply 神話学から見た、破壊と維持と創造 虚風老 2010/02/02 16:46
インド神学では、ヴィシュヌ派とシヴァ派というものがある。(もちろんこれはそれを信奉する基盤の人々の経緯が違うからじゃけど)
かなり単純化された見方ではあるが、シヴァが「破壊と創造」ということに重きをおいた神であるとすれば、ヴィシュヌは「維持」(変容)の神ともいえるじゃろう。

維持(存続)といっても、それは単純な維持ではなく、ヴィシュヌが十態に変容するように、存在の変容を通しての世界観が投影されておる。

それを極度に原理化すると創造と破壊に行き着くともいえる。

世界が創造−維持−破壊−再創造という<円環>として考えられていた時代は長いし広くの場所にあった神秘思想の中核でもあった。

キリスト教以降では創造−維持−最終末という直線になってしまった。これは近代においては「進歩」という概念に結びつく。

シュンペーターが資本主義に必要のものとして創造的破壊をあげているが、社会的にもこの創造−維持−破壊−再創造というのが必要であるといえる。
(また、いのちもこの再循環過程を踏んでいるといえるじゃろう)

しかし旧体制(体制とは維持しようとする力に他ならない)が強いとそれを破壊しようとする力との間に莫大な闘争とエネルギーが必要になる。
西洋ではルネッサンスから近代化までに多くの破壊−創造が行われた。

日本では、この近代化は西洋から結果だけを「仮借」してくればよかったので、明治維新は短時間での破壊と創造(実は西洋の文物制度の仮借)を、すみやかな変革としてとりいれることができた、これは「維持しようという勢力」が「破壊−創造しようとする勢力」に対して合同での協力という形をなしたからである。

現在世界はパラダイムシフトと呼ばれる、破壊と創造の過程にあるといえるじゃろう。
しかし、不足しておるのは、<創造するための力>である。

<維持しようとする力>はいつも働くし強い。しかしそれらは常に内部矛盾が故に自己崩壊過程にあるのじゃ。それらがグズグズになってどろどろの状態から新しい体制に立ち直るか、意思的に「創造」の方向へ脱皮していくのかが問われている。

世の賢者達は以前から、「環境」をキーワードにして、その方向を示してはいる。しかしそれをするためには現状の構造(権力や産業の仕組み、制度や金の流れ)を破壊することにもなる。誰も自分達の存立基盤が壊れることを望まないし。また、ありもしないものに懸けることは不安であるのはあたりまえじゃろう。
しかし、確実に自己の基盤が崩壊していく足音だけは気がついているという状態なのじゃ。
それゆえに塞がりと不安を覚えている。
できることなら、今のままを維持し、しかも未来も大丈夫だと言って欲しいんじゃろう。
しかし、もう誰の目にも行き詰まりが見え、落下する滝の音が近づいてきているのが聞こえてきた。

必要なのは<創造>である。

そしてそれに至るためには、旧体制の破壊は避けられず、それを最小限の破壊ですますには、維持派の人々が<創造>に協力し、自ら立ち向かうしかないのである。

それ、人々よ、創造へ飛べ。

                      虚風老

1403 Reply 船遊び。 缶中楽器 2010/01/03 16:44
   李白・杜甫・高適。船遊び。
   第二幕。

   船上で酒盛りを続ける李白・杜甫・高適の三人。
   立ち上がる李白。船の外に向かってパンパンと手を叩く。
   すると水鳥が一羽やって来て朝顔を李白に差し出す。
   花瓶にさす李白。
李白「ごくろうごくろう。これでよい。」
   船のそばの水面へ戻る水鳥。座る李白。

李白「さて、花を愛でる興はどこにあると思うかな? 二人とも。」
高適「朝鮮朝顔ですな? どうやら絵心や香りを刺激する趣向ではなさそうですな。」
杜甫「
   国破山河在
   城春草木深
   ・・・
(国破れて山河あり。城春にして草木深し。・・・)

李白「何じゃ? 杜甫や。いきなりシリアスになりおって。」
高適「はっはっは。やっぱり辛気臭い御仁だ、杜甫殿は。そのお題頂きましょうかな。」
李白「どういうことじゃ、高適。」
高適「戦略は軍人が、政略は政治家が携わる。どちらも人の構想を人の意思で遂行するすることにはかわりは無い。しかし戦略政略を超えた上位の視点を持ってすれば残るのは民衆へのいたわりの心と歴史の流れへの感慨・・・」
李白「上位の視点じゃと?」
高適「地政学ですよ。李白殿。」
李白「地理的条件は確かに天与のものだし、変えようのない過去も天与の条件に等しいが・・・しかし本当に上位の概念といえるのか? わしには地政学とは戦略政略に指導原理を与えるというより答えを導く補助条件、または都合の良い言い訳に過ぎぬ、と思えるが。」
高適「補助条件、言い訳などではありませんぞ。李白殿。」
李白「地政学が戦略政略より上位概念ならば歴史の繰り返しがあることになる。一方で悠久の流れは押し止めることができない。高適、繰り返しに対しては戦略家は戦備を整えようとするじゃろう。悠久の流れに政略家は・・・」
高適「黄河で商人たちは縦横無尽に生きていますよ、李白殿。知恵を借りることですな。」
李白「ビジネスじゃと? 高適、わしはな、・・・」
高適「まずはともかく事例研究と行きますか、李白殿。」
李白「その前に酌をせぬか、高適。」
高適「それではこの鵜をかたどったひしゃくを使いますかな、李白殿?」
李白「わしはこのオウム貝の杯でさらに酔うとしようか、高適。」
高適「拙者も酔いますぞ。李白殿。まず肴はナポレオンとヒトラーの対比ですが・・・」
李白「モルトケもにたりよったりじゃな。」
高適「何故です。」
李白「西を叩いて東へ向かう、からじゃ。」
高適「モルトケはともかくナポレオン、ヒトラーはマスタープランに従った訳では・・・」
李白「人の構想を人が遂行する・・・これを越えておるのじゃろ? 地政学的結論は。」
高適「類型として、パターンがヨーロッパ大陸にはあると? 西のトラブルが先、東が次。」
李白「アメリカ合衆国の独立戦争の後、何が起きたんじゃ。ヨーロッパで。」
高適「フランスの財政が悪化して、やがて民衆はバスチーユへ・・・ナポレオンは大陸封鎖の限界からロシアヘ戦いを・・・」
李白「リンカーンの後はどうじゃ。」
高適「今から見ればイギリスはもっとアメリカの奴隷制度を長引かせるべきでしたな。」
李白「何故じゃ。高適。」
高適「とっくに産業革命でエネルギーを化石燃料にシフトし始めていたのですよ。アメリカ合衆国が奴隷を酷使する間にね。イギリスは植民地から搾取するモデルでもう一段階アメリカを引き離せたのではないか? アメリカの産業発展を奴隷制度のくびきで妨害し、南北で国家を分断し、人種対立で社会を揺さぶり、暴動を画策して・・・。」
李白「軍制はどうじゃ。」
高適「総力戦の時代まで奴隷制度を抱えていたら欧州の戦場で通用しましたかね。第一次世界大戦では? フリードリヒ大王と同じ苦労をすることになったでしょうな。兵士が、黒人奴隷が脱走はする、反抗もする。横隊戦術でも採りますかな。白人指揮官は無闇に死ねませんしな。何を持って統率の範とするか見ものだったでしょうな。黒人兵士は奴隷商人に連れてこられたものたちだから同郷の者たちを集めて動員する手法も効果的とは思えない。」
李白「戦場はともかく奴隷制度は弱点になったことは間違いない。ドイツは勝ったかな? 奴隷解放戦争を欧州戦線で実行し、アメリカの遠征軍を撃滅し、奴隷たちを怒れる奴隷解放軍として組織して・・・」
高適「第一次世界大戦でドイツが勝っていたら第二次世界大戦はなかった? ナチスは現れず、イギリスの二枚舌もないからイスラエルの建国もない。」
李白「あったかもしれん。アラブの油田を米英が取るかドイツが取るか、対決のシナリオ次第じゃが。その前に対日戦でユダヤ資本の協力も欲しいから歴史は不変だったかもしれん。」
高適「独ソで同盟して対米干渉戦争を企画したかもしれませんぞ。」
李白「それはない。高適、対米上陸作戦なんぞよりソ連には極東南下じゃ。対日戦で国境画定じゃよ。ドイツも極東権益防衛のために兵を出すに違いない。もしかすると極東で米英独露包囲網が日本の権益を解体する歴史へ向かったかもしれん。」
高適「その後のイギリスは?」
李白「フランスを何とか独立させようとするじゃろう。もっともこの仮想の歴史でノルマンディー上陸作戦はないかもしれぬ。むしろ問題はドイツの東方じゃ。スターリンを英独米で迎え撃つためフランスの独立を約束してフランス人を東方で戦わせたかもしれぬ。」
高適「ド・ゴールがドイツ東方戦線でスターリンの部隊をどう料理したでしょうな。」
李白「笑えんぞ。高適。東欧がこの仮想史の第二次世界大戦の発火点となっていたら、冷戦下ではなく熱戦下の朝鮮戦争は限定戦争にならなかったかもしれん。マッカーサーはコバルト・ラインを実行し、トルーマンは原爆を人民義勇軍に落としただろう。シーパワーVS.ランドパワーの底知れぬ戦い・・・」
高適「英米支配者層は本当に後悔しているかもしれませんぞ。昨今の中国の台頭を目の当たりにしましてな。あの時ソ連はともかく中国に攻め込んでおけば良かったと。主力部隊は朝鮮半島から渤海を反時計回りに進撃し、大連・青島に上陸作戦を敢行し、北京を陥落させて・・・」
李白「取留めの無い話。夢に過ぎんよ。」
高適「現実はどこにあるのですかな?」
李白「アフガンじゃ。」
高適「タリバン復活阻止? アルカイダ掃討? 対テロ戦争?」
李白「馬鹿を申すな、高適。ロシア南下阻止、中国征西阻止じゃ。」
高適「中国の征西とは。」
李白「パキスタンには核がある以上、チベット殖民以後中国の膨張はここじゃ。アフガンを通ってイランへ、中東諸国へ兵を送るのじゃ。石油を確保するためにな。」
高適「空母も持つことだしインド経由で艦隊を派遣してはどうです。」
李白「一隻や二隻の空母でどうする。いざとなれば米国は多数の機動部隊を中近東に終結・・・シナリオによっては別途の優位な数の機動部隊が台湾かベトナムで迎撃するじゃろ。いや、日本に集結しただけでも中国海軍は沿岸防衛のため本土張り付きは必至。」
高適「米軍をグアムへ撤退させる必要がありますな、中国には。日本の自主防衛は困るが米軍基地も困る。瓶の蓋を抑える役目に徹してくれれば米軍も中国の友軍なのですがな。」
李白「米軍は日本から撤退などせんよ。高適。」
高適「何故そう言えますかな。李白殿。」
李白「ペリー以来、第二次世界大戦までの成果が無駄になる。次の日米戦で米国が勝ってもマッカーサーのような成果は期待できない。イラク戦争で証明された。米国は占領が下手糞な国じゃとな。韓国・日本は米国の征西の歴史の流れの一環じゃ。ハワイ併合、フィリピン支配を含む、な。米韓、米日の同盟はユーラシアへの足がかりとしてはワンセットじゃから韓国からも米国は手を引かん。超大国でなくなっても大国として生きていかねばならぬ米国じゃ。少なくとも太平洋をまたぐ海洋国家を志向するならの。おいそれと撤退できるものか。イラク戦争の教訓は前方展開、事前集積の有用性じゃ。そこで中国としては日本のチャイナ・スクールに知恵をつけることじゃ。余り同盟にとって本質的でない、一部の基地の問題で世論を反米化するのじゃ。出来るだけ在日米軍を空洞化する。日本政府は埋め合わせとして同盟の根幹たる共同軍備・共同出兵にむかうことになる。つまり・・・」
高適「日本はいずれ米国の世界各地の事前集積に協力すると・・・そして実戦を戦うと?」
李白「そうじゃ。高適。日本は近未来、実戦部隊を提供する。米英主導の戦争にな。」
高適「その時中国軍が既に中近東を目指していたら・・・。李白殿・・・」
李白「米英日連合軍と交戦じゃな。」

   朝鮮朝顔を見つめている杜甫。ハッと我に返ると李白・高適に向き直る。

杜甫「李白先生、高適先生! 朝鮮半島の問題はいつ解決するのでしょうか?」
李白「問題とは何じゃ? 杜甫や。」
杜甫「極東では冷戦が終わっていません。」
李白「確かに終わっていない。だが問題は解決しておるよ。杜甫や。」
杜甫「と、言うと?」
李白「分断じゃよ。分断。答えは出ておる。米中露日韓北共通の利害じゃ。米国は反米的統一朝鮮・核保有統一朝鮮出現は権益に反する。中国も親米国が隣接するのは避けたい。ロシアは発言権がなくなる。日本は竹島どころか対馬・讃岐諸島が危ない。中国に加えて統一朝鮮の脅威に対抗する破目になる。韓国は北朝鮮吸収合併でも二の足じゃ。経済は地獄になる。北朝鮮支配者層はチャウシェスクになりたくない。六カ国共通のリスク回避方法は朝鮮半島分断じゃ。これしかない。北朝鮮が核を持とうがミサイル技術をイランに売ろうがな。」
杜甫「朝鮮半島を分断し、東欧でEUを拡大し、アフガンで作戦して押さえ、イラクを蹂躙してイランを射程に収めた英米、西側諸国はもはやロシア封じ込めを完了したのでしょうか。李白先生。」
李白「黒海西は包囲した。カスピ海東もアフガニスタンで切り込んでいる。イランはこの先言いがかりをつけて攻撃する意図は持っている。だが隙ができた。イラクのコントロールだ。黒海・カスピ海で挟まれた回廊からロシアが南下したらどうするか。イラク戦争は、湾岸戦争後の対イラクパトロール、懲罰軍事行動の負担に耐え切れなくなった米英が企画した。アフガニスタン、イラク権益保護の軍事負担・財政負担に耐え切れなくなった米英はアゼルバイジャン、アルメニア、グルジアに親米化の梃入れを図るじゃろう。ロシアとしては押し返すしかないが・・・。」
杜甫「何故テヘランへ侵攻しないのです?米英は。」
李白「どこから進発するというのじゃ。杜甫や。」
杜甫「クウェートからです。」
李白「重装備・人員の集結に軽く半年はかかるのじゃぞ。一、二年の外交危機の後にな。イランも反米勢力、義勇兵も準備万端じゃ。イラク戦争にイランが学んでおればもうサンダーランなど再現できまい。ザグロス山脈も障害じゃ。イラク、サウジアラビアの味方も要件じゃ。が、並みの外交手腕では話がつくまい。」
高適「ロシアとしては反イスラエルで危機を作って米英と交渉し、存在感を演出し、影響力を増した方が効率的ですな。シリアを使えばトルコ、イラクに睨みが利く。反イスラエル感情でトルコ・シリア・イラクを結びつけ、反米化できれば・・・」

   盃をあける高適。ひげをなでる。

高適「米軍はRMAでまさしく最強になりましたな。だが余りに戦闘と兵站だけが突出し過ぎた。占領政策すらなくイラクへ行くとは。大戦略の観点から言えば平和への移行をもっと考えて置くべきでしたな。サダム・フセイン大統領の扱いも間違いだった。捕虜になって検査を受ける映像を世界に公開するより正装で占領に整然と従うよう国民に呼びかけさせるべきだった。」
杜甫「イラクでも警察予備隊を作れば良かったですね。失業対策も兼ねて。早めに美術館なども警備すれば良かった。」
李白「アメリカ人に水師営をやれといってものぉ。」
高適「しかし怖い。軍隊を強くするのは実戦経験ですからな。新型輸送船、新型輸送機も登場し、砂漠戦の経験も市街戦の経験も積んだ。占領の愚も学んだ。」
杜甫「次は何をしでかすか分からないと?」
高適「その通り。最もありそうなのはイスラエルがらみ。自国民をまとめ易い。キリスト教国圏の支持も得られる。」
杜甫「いまさら十字軍でもないでしょう。」
高適「いや、ブッシュ(子)大統領はその気だったようだ。イラク戦争ではね。」
杜甫「確かに失言はありましたが・・・」
高適「英国はともかく米国の中東出兵は石油狙いだ。イスラエルがらみで糊塗してもね。だからイランと戦争するならイランの油田地帯だけ占領すればいい。テヘランなどいらない。口実は懲罰でも難民保護でも何でもいいが。幸いザグロス山脈よりペルシア湾寄りにマルン、アガジャリー、ガチサラーンの油田がある。チョークポイントのホルムズ海峡は米英で管理する。」
李白「しかしのお、高適。部分占領や限定戦争は湾岸戦争の蹉跌を踏むことになりはせんか? 軍事パトロールの負担はイラク戦待望を米英軍部に植えつけたのだぞ。」
高適「日本にF-15やペトリオット、90式戦車を持って来させますよ。」
杜甫「戦車はいらないが治安維持に直接かかわる要員は欲しいでしょう。米国政府が打診してくるかもしれない。」
李白「日本は渋るに決まっておる。」
杜甫「また金だけだすんでしょう。米英としてはまあ、搾るだけ搾って戦費の足しにするだけです。日本には後方活動とやらで国内向けのアナウンスをさせれば良い。」
李白「米英はそれでも日本に感謝するかもしれんぞ。」
高適「また感謝リストには漏れているかもしれませんな。湾岸戦争との違いはリスト発表国がクウェートではなく英米だということだが。」
杜甫「それこそ怖い話です。高適先生。李白先生。」
李白「うむ。・・・」

   身震いして急に飛び立つ船の周りの水鳥たち。
   立ち上がる李白。飛ぶ水鳥たちを見上げると朝鮮朝顔を手に持つ。

李白「すまぬな皆。お前達まで怖がらせてしまったようじゃ。それ、怖い話は終わりじゃ。」

   朝鮮朝顔を投げ捨てる李白。
   水面に戻る水鳥たち。恐縮して平伏する。
   その様は将来、英米の政戦略に平伏する日本国、日本人の様でもあった。

第二幕終わり。

1402 Reply 船遊び。第一幕。 缶中楽器 2009/12/31 00:22
第一幕
  梁宋へやってきた杜甫は李白と再会した。詩人・高適も連れ立って三人は船を借り切り酒盛りを始めるのであった。

李白「二人とも飲め飲め。酒壺はこの通り。水鳥の数ほどあるぞ。」
高適「良い酒ですな、李白殿。さあ、杜甫殿も遠慮なさらず、ググッと呑みなされ。」
杜甫「ご馳走になってかたじけない。」
高適「まじめくさい奴じゃ! 辛気臭い。さっさと酔ってしまえ。」
李白「杜甫や、お前に再会出来てわしは嬉しいのじゃ。盃をあけろ。こんなに美味い酒はない。」
杜甫「李白先生! ありがとうございます。嗚呼、本当に美味い!」
高適「ときに李白殿。酒のつまは何ですかな。」
李白「実は趣向を凝らしておりましてな。」
杜甫「そうであれば詩の推敲も楽しめるというものです。李白先生。」
高適「して、酒肴はなんですかな。李白殿?」
杜甫「美女の舞でしょうか。李白先生? それとも甘美な音楽でしょうか。」
李白「甘口でないことは確かじゃ。どれ、わしの酒飲み友達を一羽呼んでみるとしようか。」

   外に向かってパンパンと手を打つ李白。一羽の鳩がやってきて船の縁にとまる。

高適「何ですかな。李白殿、この鳩は?」
杜甫「謳い上げる程の美鳥とも思えませんが・・・李白先生。」
李白「わしは何もこやつを詩の題材に鑑賞しようと言うのではない。三人でこやつの国を俎上に載せて溜飲を下げようと言うのだ。」
高適「鳩の国の出来事を? 一体何があったというのです、李白殿。」
李白「痛快な話じゃ。高適、杜甫。小役人どもが吊るし上げになった話じゃ。」
杜甫「なんと激辛な!」
高適「吊るし上げとは穏やかでない。何の騒ぎですかな。李白殿。」
李白「事業仕分けじゃ。高適、杜甫。」
高適「あの人民裁判ですか! 李白殿、せっかくの趣向だが、この酒肴、少々賞味期限が切れているのではないですかな。」
杜甫「李白先生、やはり美女の肌と管弦の調べがこの美酒を引き立てるのでは。」
李白「二人とも早合点は禁物じゃ。わしはそれ程無粋な男ではない。実は鳩の国の小役人    どもから権限を取り上げる方法を思いついたのじゃ。」
高適「小役人どもを干しあげられるとなれば確かに痛快ですな。李白殿。」

   杜甫が新しい酒壺の封を切る。三度も盃をあけて空を仰ぎ見る。

李白「不満か? 杜甫や。」
高適「やはり甘い菓子などが御所望でしたかな?」
杜甫「李白先生。私は役人になろうと国中伝を頼って旅をしていたのです。この話題で気炎をあげる気にはなれませぬ。」
高適「やれやれやっぱり辛気臭い御仁だ! さあ杜甫殿、さらに酒壺の封をきりなされ。」
李白「杜甫や、そなたは才能もあり高邁な理想を持つ男じゃ。何で小役人になるものか。
出世の前祝いじゃ。わしが酒をつごう。」
高適「杜甫殿、拙者もお祝い申そう。清談より政談の方が酒も進むものですしな。」
杜甫「李白先生! 高適先生!」

   李白・高適に頭を下げる杜甫。美味そうに盃をあける。

李白「では二人とも、わしの話を聞いてもらおうか。わしはな、この鳩に山での様子を聞いて思ったのじゃ。間接民主制の限界、予算編成を官に任せる限界をな。わしら国民は知っておる・・・官僚組織は必ず腐敗し、肥大化するとな。不正を正すには懲罰が必要じゃし、無い袖は振れねから確かに事業仕分けは必要じゃ。だがいつまで議員や役人どもに予算を決めさせなければならぬのじゃ? 国民がもっと直接予算編成にかかわって良いはずじゃ。事業仕分けを傍聴して興奮するだけで良いのか? 小選挙区制が政権を変えた様に時代を変える予算編成制度が必要じゃ。そこで税制じゃが・・・   」
杜甫「消費税を税率20%にして国民を怒らせ政治家達に発奮をうながすのですね?」
高適「いやいや、無利子国債購入者には相続税を免除するが、償還は必要に応じて個人国債の現物支給で・・・」
杜甫「そう言えば株は電子化されましたね? 貨幣をデジタル化する施策の一環ですかね。   個人資産をデジタル化して掘り起こすには無利子国債は絶妙な案ですな。そのうち不動産も美術品もデジタル化を介して国家が把握し易くなる・・・オークションにも税の網がかかる・・・ATMでの振り込みにもいずれ網が・・・貨幣、マネーの大半がデジタル化されれば紙の現物に有効期限を定め、デジタル化した登録なしの私有物は取引を禁止すれば、・・・これは新円切替になる・・・少なくとも地下経済に対しては・・・」
高適「杜甫殿は呂律が回らなくなってきたようですな。拙者なら路上パーキングをもっとデジタル化しますな。ちまちまコインを入れさせるからいかん。ETCの様に自動化、無線化するべきだ。あの高慢ちきな巡回員はがまんならん。人間が巡回したりするから駄目なのだ。それに時間が細切れすぎる。民生妨害の最たるものだ。あれでは民間は仕事にならん。警察の民生妨害はやめさせなければいかん。車を停めたい者には停めさせたら良いのだ。ラーメン店の前でも工事現場の前でもな。エリアごとに料金を設定し個人なり法人に請求すれば良い。場所によっては駐車場として常時個人や法人と契約すればどうか。車の販売台数も増えるしエコカーを優遇すれば国策にも合う。そもそも車両のナンバープレートをデジタル化、ICタグ化すれば利点が多い。その利点とは・・・」
杜甫「美人婦警がお相手を・・・」
高適「有人に拙者は反対なのだ、杜甫殿。駐車違反取締りは無人化していかなければいかん。鳩の国の治安は悪化しておる。治安維持に警察は傾注するべきだ。民生妨害で点数稼ぎをしている場合なのか? 治安維持の要諦は警備の人数だ。増やすことだ。現代の犯罪取り締まりのポイントは何か。拙者は知っておる。車だ。車の所有、移動をリアルタイムで監視することだ。誘拐も死体遺棄も逃走も窃盗も殺人もこれが肝心なのだ。」
杜甫「資金洗浄も犯罪もデジタル化で監視して絶滅・・・正義とはいえ気分が悪くなる方策ですな、高適先生。監視が正義ですか。監視による裁き、監視による公正?」
高適「拙者は警察を信頼しておるよ。杜甫殿。嫌いだがね。ちなみに貴殿の好きな美人婦警など影すら見かけたことがない。鳩胸の女人ばかりではないのかね? 鳩の国では。」
杜甫「それがなかなかどうして。西施、妲己に勝るとも劣らぬ女人ばかりです、高適先生。   美人OL、美人女子大生、美しすぎる議員・・・」
高適「傾国の美女ばかりで溢れておるのかな、鳩の国は。杜甫殿にかかると何でも美人だ。」
杜甫「美術は女性の内面に価値を見出さないと思いますが。そもそも女性の価値は伝統的に容姿、補助的労働力の観点から分析・評価され・・・、親に従い夫に従い子に従って一生を過ごし、女性の容姿は商品として消費され、・・・」
高適「杜甫殿、拙者は女性の社会進出と教育に多大な関心と賛意を持っておってな。女性の内面に価値を見出すことが大切だと。」
杜甫「それは人間の価値の問題であって女性論のポイントだとは思えませんが。」
高適「いや拙者は男性社会の男性目線偏向を修正するには女性の視点こそが。」
杜甫「女性の社会進出の処方箋は結局、女性の男性化ではありませんか? 女性もズボンをはき、ハイヒールをやめ、子供は公共施設にまかせ、残業し・・・」
高適「女性は女性だ。男ではない。」
杜甫「朝忙しくて家で化粧などしていられないのでは? 上司がノルマで縛り付けているのでは?」
高適「それは男性も同じことで仕事が生活を侵食し有閑など・・・地位や収入にもよるが。」
杜甫「状況と制度が共通なら内面の議論など無視して良いのでは。」
高適「男女の差異は無視できまいよ。女性は化粧し、スカートをはき、着飾るし、料理の好みも、求めるサービスも違う。」
杜甫「女性らしさの存在理由はマーケティング? ニーズだとおっしゃる?」
高適「共通の状況や制度下にあっても公正や平等だと言う訳ではない。」
杜甫「男性同士では公正で平等な社会ですか? 鳩の国は。」
高適「小癪な御仁だ! 杜甫殿は。男女間の方が目立つのは明らかではないか。」
杜甫「高適先生、扶養控除は男女差別に関連があるのでしょうか。」
高適「あれはあれで良かった。今までは鳩の国の実情にあっておった。」
杜甫「これから先変わると?」
高適「財政が財政だ。主婦は単なる無職と看做すしかない。パート・アルバイトなら低所得者だが。財政危機は税制を人頭税に変えていくものだ。学生からも幼児からも徴税せねば追いつかん。そこで鳩の国では消費税が上がる。老若男女それぞれに考慮する余裕はなくなり個人として扱うだけになる。税は人頭税に向かう。」
杜甫「それは倫理に適うことですか、道徳に適うことでしょうか。高適先生。」
高適「正義は哲学者や宗教家が決めることではない。権力者が定めるものなのだ。財政破綻は権力の失敗だが増税で建て直すのは正義なのだ。国民負担が裁きなのだ。人頭税、間接税をもって公正となすのだ。」
杜甫「何です? この鳩の国の正義、裁き、公正は。友愛どころではない!」

   深く頷く李白。杜甫・高適に向き直る。ハタと膝を叩く李白。

李白「そこじゃ! だから財政じゃ。予算編成なのじゃ。直接民主制にせねばならん。国民が直接予算編成にかかわる制度が必要じゃ。それには納税段階で意思表示できねばならん。省庁別、事業別に納税できねばいかん。省庁別、事業別に納税を拒否できねばいかんのじゃ。」
杜甫「李白先生、私は財務省が無能とは思いません。信頼しています。彼らの裁量を奪うことには賛成できません。彼らは有能です。」
李白「長い間ALMもわからぬ無知な連中が?」
杜甫「無知とは言い過ぎです。大蔵省時代の恥ですよ。」
李白「政治家の限界が官僚の才能も矯めてしまうのだ。わしは国民感情こそ突破口だと思っておる。国民が納税段階で省庁別事業別に配分を意思表示できる仕組みがあれば使う側も説明責任を全うするじゃろう。アイディアも公募する様になる。」
高適「しかし財務省の裁量は必要だと拙者も思う。国民の選択と財務省の裁量をどうバランスなさる? 李白殿。」
李白「財務省の分割民営化がわしの夢じゃよ、高適。極端に言えばな。政府は官邸直属でAチーム、Bチームを作って競争させたら良い。予算原案のさらに原案作りをな。できれば民間に任せたい。議論を根こそぎ公開するのじゃ。インターネット、新聞、雑誌、シンポジウムでな。国民感情で予算を編成するのじゃ。小役人から予算編成を取り上げるのじゃ。」
杜甫「衆愚政治の悪弊が心配ですが・・・」
李白「杜甫や、そなたは保守的な男じゃなあ。愛妻家じゃし。」
杜甫「不本意です、李白先生。後世に私の詩も保守的視点で評価する輩が多いのもそうですが・・・。」
李白「そなたもわしの様に神仙の世界に浸かってみてはどうかな。」
杜甫「わたしはそっちはどうも・・・」

   その時船の縁にとまっていた鳩がバサバサと羽を動かす。

鳩「クルックー。」
李白「こやつ、政談に飽きおったか。よしよし、行っても良いぞ。」

   飛び立って行く鳩。李白・杜甫・高適は盃をあけながら見送る。
   第一幕終わり。


 



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